9月15日「ドイツで老後を迎える日本人の集い」がハイデルベルグで開催された。竹の会を含めたドイツ参加団体は7組織、異国で快適な老後を過ごすための情報交換が行われた。こうしたドイツ初の集いは長年海外邦人の高齢化問題に取り組み特にドイツとの縁の深い広島大学社会福祉研究室三原教綬、理学療法研究室金井教授らの主催、ラインネッカー友の会の後援によるもの。三原教授らは文部科学省より助成された科学研究費を当集会実現へと努力されたもの。以下詳細報告書より抜粋。
ドイツ参加団体
ライン・ネッカー友の会(ハイデルベルク)、ミュンヘン友の会(ミュンヘン)
まほろばの会(シュトゥットガルト)、ライン・マイン友の会(フランクフルト)
むすび(フランクフルト)、DeJak友の会(ベルリン)、
竹の会(デュッセルドルフ)
日本からの参加者 9名(略)
参加報告
第一部は三原教授および、同じく主催者の理学療法士の講演から始まった。
三原教授は1977年以来のドイツとの関わりを顧みて、1999年以来3回の老後生活に関する調査結果を発表した。
20年にわたる追跡調査により判明したことは、回答者たちはドイツの社会生活に順応しているものの、和食をはじめとして、メディアによって日本情報を得るなど、日本文化と密着した生活を送っているが、年齢を重ねるほど彼らはドイツでの老後生活を望む傾向を示している。したがって日本人の高齢者福祉サービスにおいては日本文化を尊重したものが必要と考えられる。その他米国・カナダおよびドイツにおける日系老人の福祉状況比較の発表があった。
余談ながら三原教授は2011年日独友好150年記念功労賞を日本で受賞している。
*竹の会会長は同じくドイツで受賞。
ついで理学療法士の金井秀作教授は「フレイル」という耳慣れない言葉を使い、<健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間>を意味する体調を認識することが大切で、早期に予防や改善が必要とのこと。
やはり理学療法士の岡村和典助教は、フレイルの予防に役立つパフォーマンスを紹介した。参加者を立たせて簡単な体の動きと共に、脳を使うコンビネーションの動作を体験させ、これがアンチエイジングのひとつの方法として示された。
休憩の後(第2部)は参加7団体の紹介が次々と行われ、竹の会オプハイ理事長の発表は、特にディアコニーとの親密な協力が他団体にはない特別な特徴として受け取られたように感じられた。
その後の質疑応答での最大の実りは、全団体が参加するメーリングリストを作成し、全国的に情報を共有することを可能にすることが決められた。
(中略)
後日の異変
集いのちょうど4週間後、10月13日に三原教授が九州で講演後亡くなられたという訃報が入り、驚きました。私たちにとっては、あの集いが三原教授の最後の集大成となり、全国の団体が気軽に交流できる礎石をつくっていただいた記念遺功のような気がします。これからは、この基盤の上に団体がまとまって交流を深める努力を怠らないことが求められると思います。
2018年10月23日
記 高木洪