法律講座 2020年1月29日
「老後に備え、大事な人を守るために相続について知っておきたいこと」講師ゼーツ・カレン
洋子弁護士(竹会員)。相続問題専門のGelbke Rechtsanwälte所属。参加者は27名
老後の備えの基本は:
① 任意代理人: 複数の代理人可能。委任項目によって異なる代理人に委任可能。例えば、財
産、不動産管理。医療関係。介護施設、閉鎖病棟への移動。強制拘束権。故に任意代理人
には信頼できる人を選ぶこと。判断能力がなくなった場合や緊急の場合に備え夫婦間でも
事前に決めておく必要あり。子供を任命する場合、急な処置に対応できるよう近距離にい
る子供が望ましい。任意代理人を出せない場合や事故などにより緊急代理人が必要な場合
は、裁判所が法廷代理人を指定する。法定代理人は裁判所の監視を受け、報告の義務があ
る。任意代理人は監視されないが、契約書に報告の義務を入れることが可能。これらの書
類は Betreuungsbehörde, Notar, Rechtsanwaltに登録可能。
② 事前指示書: 医者は尊厳ある生命を出来る限り維持することが使命である。しかし、
不治の病人を延命処置や無益な治療の苦しみなどから解放するために、延命処置の打ち切
り、無意味な治療を止めることができるのは唯一この事前指示書である。本人が判断能力
がなくなった場合、代理人と医者が処置決定ができるように指示書には具体的に書くこと。
死が目前に迫っていない認知症患者の場合でも自分で判断ができる早期の段階で法律家と
相談の上これを作成すべし。事前指示書式は①の書類同様インターネットからダウンロー
ドできる。
③ 遺言書: 遺言書がない場合、法律で定められている遺産分配が行われる。相続は被相続人
の配偶者と子供に。子供がいない場合は、配偶者と両親。両親がいない場合は被相続人の
兄弟、さらに兄弟の子孫。ドイツと日本ともに配偶者には相続される。遺留分は日独でも
請求権がある。遺言書は自筆であること。作成月日、印鑑(日本)、署名(ドイツ)が必
要。その他に両国に公証遺言書がある。ドイツには生前贈与、用益権などの相続契約があ
る。生前贈与を受けた分は相続分から清算される可能性がある。ドイツでは夫婦間で生き
残った配偶者がその遺言書に則って処理する共同遺言書がある。ドイツに居住する日本国
籍所有者の死亡の場合、遺産相続は国籍に関係なく、本人の最終居住地の法が適用される。
しかし、日本法に則って遺産相続がなされたい場合は、遺言書にその旨を明記のこと。